「実は311で壊れたまま放置されている模型がいくつかある」
「既にかなり前だろ」
「ガラスケースの奧で、邪魔にならないから、なんだかんだで放置されていたのだ」
「それで?」
「これは透明レジンの綾波。モデラのデモンストレーションでもっと大きなスケールのフィギュアを縮小したモデルだったと思う。もっと小さいのもあるがそっちは崩壊していない模様」
「それで?」
「損害は、台座からの剥離と、片手が取れたということ。基本的に瞬間接着剤で固定すればすぐ直るものなのだが……」
「だが?」
「直りそうだから出して来たのだが」
「だが?」
「でも透明レジンのモデルそのまま、というのは面白くないよな。イベント限定で何か意味ありげに透明レジンのキットが発売されて、実は他にもいくつか持っているのだけど、色塗りマニアとしては透明仕立てで透明キットを作るのはいちばん面白くないよな」
「ってことは?」
「少し色を入れることも考えたいような気がする。かなり実験的に塗ってもいいかもしれない」
「おいおい。いいのか、せっかくの綾波を実験台にして」
「だって、エヴァンゲリオン別に好きでもないし。これはあくまでモデラを使ったフィギュアの例として買ったものだし」
「ぎゃふん」
「実はバラして塗り直すのもいいかもしれない。もちりん、透明パーツの価値はあるから、透明は活かす方向で」
その他 §
「実は他にも昔の作りかけの模型がいくつかあるのだ。それを完成させるのもいいかもしれない。サフまで拭いてあるとかね。仮組みしているだけとかね。塗装途中で投げ出されたものもある」
「なぜ投げ出したんだよ」
「主にマスキングの失敗だな。当時はかなり腕が未熟だったので、失敗1つで動けなくなったりしたのだよ」
「つまり?」
「作れるはずだという思い込みをまだ持っていた頃。そのあとで入門書から地道にやり直したのだよ」